2006年08月28日

斜眼帯を付けた金魚(其の1)

斜眼帯を付けた金魚(其の1)
もう何年も前になるが、私は会社に勤めていた事がある。
会社は、株式会社で従業員も多く一流として知られている。テレビのコマーシャルにも最近力を入れてるようだが、地方では全く知られていない不思議な会社である。私が勤めていたのは、十数年前の事で、今では酒を飲んだとき、それも余程気分のいい時でないと話さなくなった。
落語に太鼓持ちの話があるが、彼らは一通りの芸を取得して、芸で人を喜ばせて身を立てている訳だが、会社勤めで、ピラミットに組込まれている人間の中にも時々いる。
芸もないのに太鼓を、いや笛まで吹いている奴がいる、これほど困った事はない。
私が住んでいる町は、日本で初めての政令都市との話を聞いた事がある。 最近は、ベイブリッジも出来て一段と観光客が増加してると言うが、観光客と言うよりまだ二十歳前半の若者達が、華やかさにつられ、近くの公園や倉庫にたむろしてるに過ぎないなのだから。
 JR根岸線の関内、叉は石川町で下車すると、駅前が横浜スタジアムでプロ野球の試合の時は、子供連れが多く見られるが、横浜スタジアムの西日の当たる石川町側の二階全てが、ダンボールで取り囲まれている風景を見ると、近代都市横浜の暗い裏側を垣間みる事が出来る。
私が、港町を散策の時は、鉄道発祥地、桜木町駅を利用する事に決めている。
綺麗な海は見れないが、みなと未来21の会場であった事を忘れた人も多いと思う。
その日を思い出させてくれるのが、航海練習帆船『海の白鳥』日本丸であるが、その姿を見る事が出来るのは滅多にない。
高層ビルと言ってすぐ脳裏に映るのが、新宿や池袋と思われるが、三年後には日本一の高さ296mのインテリジェントビルが立ち並ぶ情報都市と進化していくのが、みなと未来21地区なのだ。
日曜日になると、桜木町駅を利用する人が異状に多く、その殆どが野毛、日の出町方向へと早足で向かうが、その間にも昔に触れる事が出来る。
羅紗、琴、三味線の文字が染め抜かれた暖簾を左に見ながら歩いて行くと、右手に明治の異物と思われる建物が目に付く。
小さい目を見開いて表札を見ると、家庭裁判所と真新しく書かれていたのを記憶している。先を歩いている母子が、右手に曲がるのを暫く見ていたのは、四、五歳の女の子が履いていた靴が赤色だからである。



Posted by zinzin at 11:13│Comments(0)
 
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